京都の懐石料理をできるだけ多くのお客さんに楽しんでもらえるよう、”間口は広く出口は高く”をモットーとする「祇園にしかわ」。身体に優しい懐石料理を生み出すのは、店主は西川 正芳(にしかわ まさよし)氏。「祇園さヽ木」などで修業を積み、「わらびの里」料理長など歴任。2008年、「祇園にしかわ」を開店した。
「祇園にしかわ」の懐石料理は、身体の内面からの健康を願いつくられている。季節の食材から、如何にして五味五感を生み出すのか考えられたコースでは、目でも楽しめるのは勿論のこと、塩味、甘味、酸味、苦味、旨味の味の濃淡を舌で存分に楽しめる。
旬の食材を中心に70種類以上の素材からなる豪華絢爛な懐石コースは、「沢山の種類を食べることができて嬉しい。」「最近食欲無かったけしど、元気になれた」と喜びの声で溢れる。
2012年に、建坪50坪の数寄屋造りに全面改装した祇園にしかわ。「未在」をはじめ東京の飲食店を手掛ける設計士の杉原 明氏のもと、和と洋が融合した格調高い空間の造りは、路地から中門をくぐり、足元の灯りに導かれるように奥へと歩みを進める。木をふんだんに用い、聚楽壁は柔らかな陰影をもたらす店内。白木のカウンター席の天井は、竹網代や杉柾網代でつくられ、茶の世界に魅せられた心地よい空間を演出している。個室は、掘りごたつの座敷やテーブル席があり、いずれも坪庭が眺めることができる。待合の腰掛も風情あり。
京料理を掲げる日本料理店として、京都の下に流れる八坂神社の御神水で出汁をひき、可能な限り地産地消にこだわる同店。
歳月の流れと時期や料理を考えられ合わせられた最高の器とともに、店主の想いが込められた京料理に舌鼓を打とう。
writer Chie