京の奥座敷、嵐山。渡月橋から徒歩5分のところに世界遺産 臨済宗大本山「天龍寺」があり、その近くに「湯豆腐 嵯峨野」は店を構える。
嵯峨野で提供されている豆腐はすべて、嵯峨豆腐発祥の店「嵯峨豆腐 森嘉(もりか)」のもの。「森嘉」の味に惚れ込んだ先々代が、嵐山を訪れる多くの方に味わっていただきたいと、昭和41年に店をオープンした。
にがりの代わりにすまし粉を使う嵯峨豆腐は、柔らかく、なめらかな舌触りながら、弾力ある逸品。豆本来の甘みを感じられる贅沢な豆腐は、今や京都を代表する名物となった。
900坪ある敷地内には、数寄屋風の純日本建築と日本庭園があり、食事をしながら春の梅、秋の紅葉、そして苔の庭、竹林といった四季折々の風景を楽しめる。辺り一帯には尺八の音色が響き渡り、それもまた風情がある。
メニューは湯豆腐コース3,800円(税込)のみ。冬は湯豆腐のみ、夏は湯豆腐、辛子豆腐、三輪の冷しそうめんの3種類から選べる。
湯豆腐は土鍋に入って温められた状態で出され、醤油ベースの合わせ出汁でいただく。辛子豆腐はお椀型の豆腐の中に、俵型の和からしが入ったもの。箸を入れる瞬間の高揚は、まるで宝探しのよう。辛子豆腐は完全受注生産のため、市内でも出合える場所は数少なく、貴重な一品だ。
カウンター席と座敷があるため、一人でもグループでも気がねなく訪れられるのも魅力の一つ。優美で趣深い庭園を眺めながら、嵯峨豆腐を堪能してほしい。